2/26公開アイルランドの民間伝承が呼び覚ます救いなき恐怖―映画『FRÉWAKA/フレワカ』。恐怖の中心にあるのは、怪物ではなく土地に根づいた信仰そのもの。祝祭や儀式は一見すると華やかでありながら、その意味を知った瞬間に不吉な影を帯びます。

FRÉWAKA/フレワカ

――アイルランドの地に根づく信仰と呪いが呼び覚ます、静かで救いなき恐怖

2026年2月26日公開予定のアイルランド産ホラー映画『FRÉWAKA(フレワカ)』は、民間伝承と土地の記憶を軸にしたフォークホラー作品です。
現実と虚構の境界が曖昧になっていく感覚を、派手な演出ではなく空気と象徴によって描き出す点に、本作ならではの不穏さがあります。


あらすじ

婚礼の夜、ひとりの花嫁が忽然と姿を消した——。
それは、アイルランドのとある村に今も語り継がれる、半世紀前の出来事でした。

時は流れ、看護師のシューは、人里離れた村でひとり暮らす老婆の介護のため、その地を訪れます。外界から隔絶されたかのような村での生活は、どこか息苦しく、説明のつかない違和感に満ちていました。

「ヤツらに気をつけなさい」と怯える老婆。
どこからともなく聞こえてくる歌声。
蹄鉄に囲まれた赤い扉。
藁の被り物をした人々が集う、意味不明な祝祭。

やがてシューは、この土地に深く根を張る古い記憶と向き合うことになります。掘り起こされていく過去とともに、彼女の日常は少しずつ歪み始め、正体の見えない“何か”が確実に迫ってくるのです。

それは怪異なのか、信仰なのか、それとも土地そのものが見せる幻なのか——。
シューは次第に、逃げ場のない恐怖へと吞み込まれていきます。


フォークホラーとしての特徴

『FRÉWAKA』は、いわゆるショッキングな描写や即物的な恐怖に頼らず、土着的な信仰や呪いを現代的な視点で再構築したフォークホラーです。

  • 村に代々受け継がれる慣習
  • 共同体の中で共有される沈黙と了解
  • 外部者が感じる説明不能な疎外感

こうした要素が積み重なることで、観る側は「何が起きているのか分からないまま、ただ不安だけが増していく」感覚を体験することになります。


土地・信仰・祝祭が生む恐怖

本作で描かれる恐怖の中心にあるのは、怪物ではなく土地に根づいた信仰そのものです。
祝祭や儀式は一見すると華やかでありながら、その意味を知った瞬間に不吉な影を帯びます。

藁の被り物や赤い扉といった象徴的なモチーフは、説明されないまま提示されることで、観客の想像力を強く刺激します。
「分からないからこそ怖い」という、フォークホラー特有の感覚が貫かれています。


映像と演出の印象

映像は全体的に抑制されたトーンで統一され、田園風景や村の建物が強い存在感を放ちます。
ポップさを感じさせるビジュアルと、不穏な内容とのギャップも本作の特徴であり、その対比がかえって恐怖を際立たせています。

音楽やセリフは最小限に抑えられ、沈黙や環境音が支配する時間が長く続きます。
観客は安心できる瞬間を与えられないまま、物語の深部へと引き込まれていきます。


他作品との文脈

祝祭や共同体を題材にしたフォークホラーとして、本作は『ミッドサマー』以降の流れの中で語られることも多い作品です。
ただし、『FRÉWAKA』はより静かで内省的な恐怖に重点を置き、救いのない余韻を残す点に独自性があります。


まとめ

2026年2月26日公開予定の『FRÉWAKA/フレワカ』は、アイルランドの地に巣食う信仰と記憶を題材に、現実と虚構が入り混じる不穏な世界を描いたフォークホラーです。
花嫁失踪の伝承と、現代に生きる看護師の視点が交差することで、過去と現在は静かにつながっていきます。

刺激的な恐怖ではなく、文化や土地の奥深さから生まれる不安を味わいたい人にとって、強い印象を残す一本と言えるでしょう。

PRF